北九州市初記録!キボシケシゲンゴロウを発見しました!

北九州市初記録! 福岡県内2例目!

全国的に希少な水生昆虫「キボシケシゲンゴロウ」

北九州市立山田緑地で1個体を採集確認しました!!!

「キボシケシゲンゴロウ(学名Allopachiria flavomaculata (Kamiya,1938))」は体長2.42.5mmの小型の流水性のゲンゴロウです。体型は丸く厚みがあり、黒い上翅に13対のよく目立つ鮮やかな黄色の斑紋があります。

最新の環境省レッドリストでは情報不足(DD)に選定されており、九州では大分県で準絶滅危惧(RDBおおいた2022)、長崎県で絶滅危惧II類(長崎県RL2022)、熊本県で絶滅危惧IA類(RDBくまもと2019)に選定されています。

 

福岡県内では久山町で2018年に初めて発見され、これまで県内では他に記録がありませんでした。今回、山田緑地管理事務所の職員が園内河川で水辺の生きもの調査を行っていた際、1個体を採集確認しました。これは北九州市で初、福岡県で2ヵ所目の生息地の発見となります。全国的にも希少な水生生物が、北九州市(山田緑地)で確認されたことは、SDGs未来都市でもある本市や山田緑地に自然の豊かさが残ることを示している事例です。


北九州市(山田緑地)で初確認されたキボシケシゲンゴロウの生体写真

【詳細】

1.ゲンゴロウとは?

・一般的にゲンゴロウというと、体長40mmを超える国内で一番大きなゲンゴロウが有名だが、ゲンゴロウには国内だけでおよそ150種類がおり、その中には体長数mmの小さな種類も多く存在している。

・種類によって池や川、地下水など多様な湿地環境(水辺)に生息する水生昆虫であり、大きさ、形、模様もさまざま。後脚が発達しているため成虫は水中で泳ぐことができる。

・近年は都市化が進み、田んぼや池などの生息環境の減少や、環境の変化などにより数を減らしており、絶滅寸前の種が多い他、すでに国内から絶滅した種もいる。

 

2.キボシケシゲンゴロウ Allopachiria flavomaculata(Kamiya,1938)とは?

・コウチュウ目ゲンゴロウ科キボシケシゲンゴロウ属

・体長2.42.5㎜ほどの小型の流水性水生甲虫。

・体型は短楕円形で厚みがあり、腹面は黄~赤褐色。本種上翅の色彩は黒地に13対のよく目立つ黄色の斑紋があるが、産地によって変異がある。

・水質の良好な河川に生息し、岸際の植物、礫、落葉の間などを好むとされている。

 

3.今回の発見について専門家のコメント

福岡県保健環境研究所 中島淳 博士(水生昆虫や淡水魚が専門、福岡県レッドデータブック昆虫類分科会委員)

キボシケシゲンゴロウは、県内では私が初めて発見して記録したものですが(中島,2019)、それ以降も県内からの他の報告はなく、また私自身も広く県内を調査していて未発見であったので、今回の発見には驚きました。水質が良好で環境の良い河川でのみ生きることができる種で、九州北部ではきわめて珍しいです。山田緑地に貴重な環境と生物多様性が残っていることを示す発見です。今後も本種が絶滅しないよう、適切に環境が保全されることを期待します。なお、本種は県内から発見されたのが最近のため、最新の福岡県レッドデータブック(2014年)には掲載されていませんが、次回改定では絶滅危惧種として掲載予定です。


キボシケシゲンゴロウ採集地点(園内の小熊野川)

キボシケシゲンゴロウを発見した流木